ヤンデレ

私はヤンデレという言葉があまり好きではない。いや、普段使うけど。なんだか陳腐化される気がして好きではないのだ。



何か、もしくは誰かを病的なまでに愛し、束縛し、自分だけのものでいてくれないならいっそ殺して永遠に私のものにしたい。これが、たぶん一般的に言われるヤンデレだ。私はたぶんこれに深い興味がある。



江戸川乱歩の白昼夢、という作品に愛しさのあまり、浮気性の妻を殺してしまう男が出てくるのだが何故か他の作品よりも惹かれる。あと太宰治の駆け込み訴えもめちゃくちゃ好きだ。あれもユダがキリストへの愛を泣いたり叫んだりしながら再確認したり、殺意を抱いたりする忙しい作品なのだが良い。何故か昔から惹かれるのだ。



私の友人にこういう気を持った奴がいる。ちょくちょく過激なやつなのだが、悪いやつではない。そいつのことは好きだ。そして、いつも心中したいだの後追いしたいだの言っている。どうやら依存関係がもっとも美しいものだと思っている節がある。とやかく言うつもりはないが。



昔は心配していたが、こいつがこういう気なんだと知ってからは興味深く思うようになった。おそらく、自分自身があまり執着するたちではないと言うか、全てにおいて中途半端なので正反対のものに惹かれるのだろう。


前から何でこいつのこの部分が嫌いではないのだろうと思っていたが、白昼夢を夢中になって読んでいるときに「あ」となった。その部分が嫌いどころか関心を寄せているのだから。



まぁたぶん私はこれからもなぁなぁに生きていくが、友人は何かに対して側から見れば異常な程の愛情を注いで生きていくのだろう。友人がそうでなくても好きだが、おそらくこれに惹かれているという部分もあるのだろうなぁと思いながら眠りにつく。おやすみなさい。